千代田区長選に関する報道を見て「公平な報道」について考える。


注:千代田区の昼夜人口比率に関する表記が誤っていたので、修正しました。(2017/1/16)

1.東京都千代田区について
東京都千代田区長選挙が、2月に実施される。(1月29日告示、2月5日投開票)

東京都千代田区は、東京都の区でありながら、人口は約56,000人(※1)。群馬県藤岡市(人口約67,000人※1)よりも人口の少ない自治体である。

しかし、千代田区は東京駅や霞が関、永田町が存在する地域であることから、通勤者が多く、昼夜人口比率は、1,725%以上(※1)もある。(「昼間に千代田区に存在する人の数」が、「夜間に千代田区に存在する人の数」の17.25倍以上であると考えていただければと思う。)

※1 いずれも、「人口増加都市」からの出典。

また、千代田区には、オフィスビルや中央省庁のビルなどもあり、建設需要の高い地域であるとも言える。

そのため、千代田区長選挙には、自治体の人口規模以上に注目が集まる。

2.今回の千代田区長選挙における各マスコミの報道
今回の千代田区長選挙の各マスコミの報道を見ると、小池都知事が推薦する現職の「石川雅己」(いしかわまさみ、4期)氏と自民党東京都連が推薦する新人の「与謝野信」(よさのまこと)氏の対決が、「7月の東京都議選の前哨戦」のように報道されている。

毎日新聞
小池知事VS自民のドン 代理戦争・第1R

朝日新聞
東京)千代田区長選に与謝野信氏擁立

産経新聞
都議選前哨戦は“代理戦争”の様相 小池百合子知事「与謝野(馨)さんは最後、何党でいらした?」

東京新聞
千代田区長選、与謝野氏おい擁立 無所属出馬で自民推薦へ

日経新聞
小池都知事、千代田区長選は「東京大改革」占う戦い

東スポ
代理戦争「千代田区長選」で小池陣営が恐れるドンの戦略

時事通信
小池氏と自民都連が「激突」=勝敗、都議選に影響も-千代田区長選

ただ、「石川雅己」氏、「与謝野信」氏の他に、「五十嵐朝青」(いがらしあさお)氏も千代田区長選への立候補を表明している(※2)のだが、各マスコミでの扱いが非常に少ない状況にある。

※2 千代田区長選挙立候補予定者一覧は、以下のサイトを参照。
選挙データBOX

3.各マスコミに求めたいこと
「五十嵐朝青」氏は、現つくば市長「五十嵐立青」(いがらしたつお)氏の兄である。今回の千代田区長選挙に対して正式に立候補を表明しているが、各マスコミで取り上げられることは「名前が表示される」程度である。各マスコミにおける他2人の候補者との扱いがあまりにも異なる。「五十嵐朝青」氏の扱いが少ないのは、特定のマスコミではなく、ほぼ全てのマスコミ横並びで同じような傾向にある。

私は千代田区民でもないし、東京都民でもない。ただ、各マスコミには「公平な報道」を求めたいと思っている。新聞であれば、販売部数、テレビであれば視聴率が大事であり、「小池都知事対自民党」の対立を話題にすれば「世間からの受け」がいいのも分かる。しかし、立候補者2人の報道に偏ってしまうと、各メディアを見ている人には「2人しか立候補していない」という誤った認識に誘導しかねない。もし、立候補者を2人に絞って報道するのであれば、「理由」を見ている人たちにも分かるようにした上で絞るべきだと思う。例えば、メディアが独自に行った世論調査で2人の候補者に絞られたため、2人の報道に中止しているとか、そのような説明が必要ではないだろうか?

今行われているような「世間からの受け」を優先した報道では、マスコミが「ワイドショー化」したと言われてしまうだろう。

国民を誘導せず、国民自身の頭で考える材料を与えるためにも、マスコミには「公平な報道」をお願いしたい。