「人口減少」という言葉に対する整理


ここ最近、「人口減少」という言葉を多く見聞きするが、その「事象」「要因」について自分自身に対する確認の意味で整理しておきたいと思う。

1.「人口減少」のパターン
「人口減少」という「事象」について、大きく分けると以下の3パターンが考えられる。
・「少子化」による人口減少
・「人口流出」による人口減少
・「死亡率上昇」による人口減少

それぞれのパターンについて、記載する。
(1)「少子化」による人口減少
日本政府が使用する「人口減少」という言葉には、このパターンを表している。
現在の日本では、女性の出生率が「1.43人」(2013年時点)となっている。
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(厚生労働省「人口動態推計」より)
日本でこの出生率が続けば、日本全体の子供の数は減少を続け、総人口が減少する。
そのため、日本政府としては、出生率を高めるために「あの手この手」を使って対応しようとしている。
安倍政権の「1億総活躍社会」は、この「出生率低下による少子化」への対応策である。

(2)「人口流出」による人口減少
これは日本全体で発生しているのではなく、特定の地域で発生しているパターンである。(日本を出て外国に移住した場合、日本全体の人口減少となるが、他国へ移住する人の割合は少ないため、今回は省かせていただく。)
ある地域から「転出」し、他の地域へ「転入」する。
「転出」が、「転入」を上回ることで、この事象が発生する。
いわゆる「社会減」である。
(この「社会減」の場合、「人口が減少する地域」が発生する一方で、「人口が増加する地域」も発生することになる。。)
この「社会減」については、私の住む神流町のような「過疎地」では、ずっと問題とされてきた。神流町から他の市町村へと人口が流出し、神流町の人口は減少してきたのである。
日本政府は、この問題に対して「地方創生」というキーワードで対応しようとしている。

しかし、「社会減」への対応を行う場合、「地域間の人の奪い合い」へとつながることになる。

(3)「死亡率上昇」による人口減少
これは、人間が死亡することによって、人口が減少することを表す。
「貧困」や「物不足」によって、十分な栄養を取ることができずに死亡する。
また、「病気」等で死亡することも考えられる。
上記の部分は、自分で意図しない要因による死亡だが、「自殺」という自身で意図する死亡要因も見過ごせない問題である。
「自殺」については、環境や地域が関わるものなど、様々な要因が複雑に絡みあうため、対応策も特定の策を行うのではなく様々な策を組み合わせて行う必要がある。

2.自治体の状況について
(1)現時点で人口が増加している自治体
東京近郊の自治体では、人口が増加している地域がある。
これは、「交通機関の発達」や「仕事のやり方の変化」により、東京への通勤圏が拡大したことで人口が流入し、「社会増」となって人口が増加していると考えられる。
このような地域では、短期的に見れば「人口が増加している」ため、一見楽観的な将来を錯覚してしまう。

しかし、「出生率」で見ると、日本国内の人口が増加している地域であっても、「1.3~1.4程度」となっているため、「長期的には人口が減少する」状態にあることが分かる。

そのため、現時点で人口が増加している自治体においても、現状を楽観視することなく、「出生率向上」のための対応策を行い、「長期的な人口増加」に取り組まなければならない。

(2)現時点で人口が減少している自治体
現時点で人口が減少しているような地域では、「人口流出」という「社会減」が発生している。
また、「低い出生率」という問題は、日本国内全体で見られる傾向にあることから、人口が減少している地域においても同様に発生していると考えられる。

そのため、現時点で人口が減少している自治体においては、短期的には「社会減」に対する策を行い、長期的には「出生率向上」のための策を行う必要がある。

「長期」と「短期」両方の施策が必要なのである。

今回上記のように「人口減少」という言葉が意味する「事象」「要因」を整理したが、「事象」「要因」を整理するだけでは解決にならない。今後、また別の機会に解決策を具体的に考えていこうと思う。